日曜日の午後6時、TBSの今日の「夢の扉」は、「人口クモ糸」を実用化した若い実業家の開発物語でした。
この番組は、毎週欠かさず見ていますが、いつも番組を見終わった時には、日本や世界の将来に明るい希望を感じています。
世の中捨てたもんじゃないな、世の中に貢献する技術開発に地道に努力している人がいて、それが実を結びつつあるんだなという思いで、番組を見ていています。
今週は、鋼鉄や炭素繊維といった従来これ以上のものはないと思われていた材料を上回る、たんぱく質でできたクモの糸の製品化を実現した開発者、スパイバー株式会社 代表執行役/関山和秀さんの話でした。
NASAや米軍の研究機関が挑んでもできなかった「人口クモ糸」の生産を、日本の若者が実現したと聞けば、興奮せざるを得ません。
でも、「人口クモ糸」を作るのは、微生物です。
生糸がその地位を譲ってから、糸はそのほとんどが、石油を原料にして作られています。
糸に限らず、車から台所製品にいたるまで、ありとあらゆる製品が石油を元に作られています。
「人口クモ糸」は、人工血管などの医療分野や、車などの輸送機分野など、世界の様々なものづくりを変える可能性、石油万能の世の中を変える可能性を秘めているのです。
石油万能の20世紀から、21世紀を支える新しい技術の端緒が見えてきたのかもしれません。
2015年のノーベル医学賞を受賞することが決まった大村智氏は、私がやったのではありません。「みんな微生物がやったのです。私はそれをちょっとてつだいしたのです」
とおっしゃっていました。
関山和秀さんもこの微生物のはたらきを上手に活用して「人口クモ糸」の実用化にこぎ着けました。
星の数ほどある微生物の中からクモの糸の成分を作り出す微生物を探し出す作業は、大変な作業だったと思います。
答えが有るかわからない中での技術開発は、迷いと、自分の信念との葛藤の繰り返しだったと思います。
多くの人の応援と幸運が成功の陰にあったと思います。
石油に頼らない新しい人口繊維の未来は前途洋々です。
外国の企業も技術を盗もうとして、虎視眈々と狙ってくるでしょう。
製品化を急ぐのはもちろんですが、足元をすくわれないようにと、願ってやみません。
21世紀の人類を救うのは、微生物の活用がキーになりそうですね。