日本が実用化を進めているセルロースナノファイバーが、べとつかず水をまとうようなみずみずしい感触を保てる化粧品、不快なにおいを吸着する大人用紙おむつとして、商品化されるようになりました。
セルロースナノファイバーとは、どんな材料なのでしょうか。
- セルロースナノファイバー(CNF)は、植物細胞壁の骨格成分で、植物繊維をナノサイズまで機械的に細かくほぐすことで作ることができます。
大きさは、幅、4~100nm、長さ5μm以上のものをいいます。 - セルロースナノクリスタル(CNC)は、酸加水分解によって製造されます。
針状結晶をしていて、幅10~50nm、長さ100~500nm
このセルロースナノファイバーとセルロースナノクリスタルを総称して、ナノセルロースと呼びます。
1nm(ナノメートル) ⇒ 10億分の1メートル ⇒ 100万分の1mm ⇒ 1000分の1μm
セルロースナノファイバーの特徴は
- 軽くて強い
鋼鉄の1/5の強さで5倍以上の強さ
この材料を車のボディ材に混ぜると車体重量を300kg減らして、燃費を20%向上させることが期待できます。 - 大きな比表面積
250平方メートル/g以上
この値が. 大きいほど粒子は細かい。 - 熱による変形が少ない
ガラスの1/50
熱で変形しない、割れない、軽い、衝撃に強いので、ガラス用途の弱点を補うことができます。
セルロースナノファイバーを透明な素材に入れても、透明なままです。
たくさんのセルロースナノファイバーが透明な素材の中で絡み合っているのになぜ透明なのか?
それは、可視光線の波長が、350nm~830nmなのにたいして、セルロースナノファイバーの大きさが5nmからせいぜい15nmなので、光は反射しないで、通り過ぎてしまうからです。
たとえば、今のテレビのディスプレイ素材にセルロースナノファイバーを入れると、透明なまま強度をますことができます。
また、プラスティックのように曲げにも強いので、柔らかいディスプレイを作ることができるようになります。
セルロースナノファイバーは、植物が原料
- 持続型の資源で環境の負荷が少ない
- 優れた補強用繊維として期待されています。
- 今までなかった機能性材料として、たくさんの用途が期待できます。
ナノファイバーの原料は、木材に限りません。
稲わら、砂糖きび搾りかす、砂糖大根絞りかす、キャッサバ(タピオカ)搾りかす、じゃがいも搾りかすからも、木材と同じように均一なナノファイバーを得ることができます。
今まで、充分に役立ててなかったり、捨てれらていたりしていたバイオ材料が、新しい材料として利用できるセルロースナノファイバーに、期待したいですね。