フォルクスワーゲンは氷山の一角?
フォルクスワーゲン(VW)が米国のディーゼルエンジン車の排気ガス規制テストを不正にパスしていたのが発覚しました。
これに伴い、各国の政府がVWと共に他社のディーゼルエンジン車の排気ガスを調査すると発表しています。
VWの問題をきっかけに、他社の実態も各国政府によってオープンになるでしょうね。
下の図は、International Council on Clean Transportation (ICCT) という環境問題に取り組む団体が15台のディーゼルエンジン車の実走行でのNOxとCO2の排出量を調べた結果(2014年10月発表)です。
縦軸がNOx、横軸がCO2の排出量です。緑の横線が最新の規制値 Euro6の排出基準、橙色がその前の Euro5の基準値です。
アルファベットのA~O はテストした車種を表し、その横の3文字のアルファベットは、その車種が採用している排気ガス低減技術を表しています。
出典:REAL-WORLD EXHAUST EMISSIONS FROM MODERN DIESEL CARS (ICCT)
Euro6 のNOxの基準をクリアしてるのは、1車種だけでした。
残りの14車種は、Euro6の前の基準のEuro5 の基準も超えています。
HとLの車種は、基準の25倍のNOxを排出していました。
各国政府機関が、実走行の調査をすれば、どの車も規制値オーバーという結果は見えています。
燃費のテスト走行値と実走行値が同じでないのは、誰でも実感しています。
排ガス規制も決められた条件で測定した時より、様々な条件で走る実走行の方が、測定値は悪くなるだろうというのは想像できます。
実走行でも規制値を守れというのは、現実的でないので、どのあたりを落としどころにするのでしょうか。
出典:REAL-WORLD EXHAUST EMISSIONS FROM MODERN DIESEL CARS (ICCT)
小型試験装置を使用して実走行テストをしたときの様子。
今回のVWの問題は、環境テスト用の排気制御と実走行時の排気制御を使い分けていたことにあります。
エンジン等の保護や車両の安全確保などのごく限られた場合は、排ガスの浄化装置の働きを弱めること(ディフィート・ストラテジー)が許されますが、常時使用は禁じ手です。
やろうとすれば、簡単にできてしまうんですよね。
特別に作った2種類の制御ソフトではなく、もともとあるものを切り替えるだけなんで。
路上でのデータが環境テストデータの5倍以上あると、この違いはなんだと聞きたくなりますね。
ブルータス、お前もか。